河上徹太郎の快気祝
河上君は何か一つオツマミとギネス一本だけで切揚げて、立ち上がりさま、テーブルの上から私のぐい呑みをさっと取り、さっと飲んでテーブルに戻ると、「日本酒は、うまいなあ」と大きな声で云った。靴は独りで履いた。富永女史が車を見つけに行き、岡女史に腋から支えられて帰っていた。それから半月ばかりして、銀座一番館の階上にあるソフィアで河上徹太郎の快気祝をするという通知を受けた。何だかきまぐれな案内のような気持がした。-
河上は快気祝いの会がすんだ後も、最後まで病院に入っていた。当人は初めからその計劃で、終焉の送別会を快気祝の体裁に仕組んだに違いない。豪気な詩人のやりそうなことである。
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